PROJECT

商品開発プロジェクト事例

転写職人が熟練の技で応えた169種類の藍色カップ

169種類の藍色カップ

CREATION Project 2016

購入する「こと」でつながる復興支援

熊本地震復興支援のため、熊本県産の天草陶石で作った磁器カップに、169人のクリエイターがボランティアで図案を提供した169種類の藍色カップ。リクルートが主催するチャリティー企画「CREATION Project」のため、KIHARAが製作コーディネート、ディレクションを担当した。

藍色カップ
藍色カップ
藍色カップ

要望・課題

  • 約170種類の商品を短期間に仕上げるための製作プロジェクトを管理すること
  • 約170種類の異なる図案を、商品としての一定のクオリティで仕上げること

解決策

  • ベースとなる生地は既存型のカップを利用
  • 予め磁器のデザインにおける注意事項を伝え、フォーマットを用意
  • 効率的に転写紙を作成するため1版のみ、染付1色に制限
  • 約170種類の図案に応じて製版し、シルクスクリーン印刷で転写紙を作成
  • 熟練の転写貼り職人の技で、各図案に合わせひとつひとつ貼り具合を調整しながら丁寧に転写

PROJECT DATA

商品名

169種類の藍色カップ CREATION Project 2016

形状

カップ

開発内容

絵付け

技法・成形法

クライアント

株式会社リクルートホールディングス

デザイナー

チャリティー企画に賛同した169人のクリエイター&アーティスト

発表時期

2016年11月

仕様

φ85mm H80mm / 電子レンジ、食洗機可 / 底裏に展示したギャラリー名と作家名記載

企画名

[CREATION Project 2016] 170人のクリエイターと有田の窯元がつくる 熊本天草陶石の磁器展 藍色カップ

RECOMMEND|CREATION Project 2016

170人のクリエイターと有田の窯元がつくる 熊本天草陶石の磁器展 藍色カップ

1990年からはじまった毎年恒例のチャリティー企画「CREATION Project」。2016年は熊本地震復興支援のため、約170人のクリエイターと、有田・波佐見の窯元とともに、熊本県産の天草陶石を使った藍色カップを製作した。

STORY

開発ストーリー / 藍色カップ

169の要望に応えた転写職人の熟練技

リクルートによる毎年恒例のチャリティー企画「CREATION Project」。2016年は熊本地震復興支援のため、「170人のクリエイターと有田・波佐見の窯元がつくる 熊本天草陶石の磁器展 藍色カップ」が、2016年11月22日から12月24日まで、東京・銀座のクリエイションギャラリーG8、ガーディアン・ガーデンの2会場で開催されている。「藍色カップ」の製作コーディネート、ディレクションを担当したKIHARA商品企画部の池田和浩さんに話を聞いた。

(取材・文:ハマノユリコ)

藍色カップ

ガーディアン・ガーデンでの展示風景

169もの異なる図案の商品を製作する大規模なプロジェクトですが、まずどういった経緯でプロジェクトに関わることになったのか教えてください

KIHARAのオフィシャルサイトをご覧になった担当の方から、「CREATION Project」の企画で、熊本の天草陶石を使った磁器製作のお話をいただきました。最初は本当に実現できるのか、対応する体制が整えられるのか不安でしたね。展示と同時に販売もするため、1点ものではなく商品として量産することが求められていましたし。今はなんとか商品化できてほっとしています。

藍色のカップがずらりと並ぶ姿は壮観ですね

藍色は、有田焼・波佐見焼の伝統的な染付技法である「呉須」という絵の具を用いた発色によるものです。今回のプロジェクトでは熊本県の天草陶石で作るというコンセプトに加え、この藍色=呉須を用いることで、有田焼・波佐見焼など肥前地区の焼きものの伝統を少しでも伝えることができればと考えました。

これだけ多くの商品を短期間に調整し、一定のクオリティで仕上げるのにはご苦労があったことと思います。プロジェクトを速やかに進行させるために工夫したことなどはありますか?

図案が多様になる分、ベースとなる生地は既存型のカップを利用してシンプルに仕上げています。また、参加いただくクリエイターの皆さんには、予め磁器のデザインにおける注意事項をお伝えし、フォーマットに沿って図案をご提供いただきました。紙や布への印刷物は経験があっても、焼きものの図案は初めてという方もいらっしゃったので、戸惑いもあったのではないかと思います。

藍色カップ

転写紙を貼付けている様子。焼成の際、黄色い部分は焼き飛び、呉須の藍色だけがカップに焼き付く

具体的にはどのような注意が必要だったのでしょうか?

今回は、提供いただいた図案を転写紙に印刷し、焼成済みのカップに貼って1190度で焼き付け馴染ませるイングレーズ転写の技法で製作しているのですが、効率的に転写紙を作成するため1版のみ、染付1色という制限の中、緻密なデザインやグラデーションを忠実に再現することが困難であることをご説明しました。また転写紙をカップに巻き付ける際、通常、両端のつなぎ目には若干の空きができてしまいます。そのため、つながりを重視する全面的なデザインを希望する場合、つなぎ目が目立ってしまう可能性を考慮してデザインしていただくようお願いしました。

藍色カップ転写紙

シート状になった転写紙。水につけて台紙からはがし、カップに巻き付けるように貼る

デザインの調整や製作において、プロジェクトを通して感じたことがあれば教えてください

今回はイングレーズ転写ということで、転写紙に関わるたくさん方にご尽力いただき感謝しています。転写紙の製作では、169種類の図案各々に応じた製版をして、丁寧にシルクスクリーンで印刷してくださった転写紙印刷工場の皆さん。転写貼りや焼成の工程では、クリエイターそれぞれの要望に応え、熟練の技で1つ1つ貼り具合を調整してくださった転写貼り職人の皆さん。こうした方々の技術と経験に支えられ出来上がったのが藍色カップです。有田・波佐見の底力を改めて感じましたね。製作管理をするのは大変でしたが、第一線で活躍するデザイナーやアーティストの方々の作品を間近に見て刺激もいただきました。

クリエイションギャラリーG8での展示

クリエイションギャラリーG8での展示風景

東京で開催された展覧会をご覧になった感想をお聞かせください

銀座のクリエイションギャラリーG8とガーディアン・ガーデンで開催された展覧会では、約170人のクリエイターがデザインした藍色カップを見ていただくだけでなく、ものづくりの背景についても丁寧に展示してあり、たくさんの方に有田や波佐見といった焼きものの産地に目を向けてもらえる良い機会になったのではないでしょうか。 購入することで熊本地震復興を支援できるのも嬉しいですね。そのお手伝いを少しでもできたのであれば光栄です。

クリエイションギャラリーG8での展示

クリエイションギャラリーG8での展示風景

CREATION Project 2016 は、藍色カップを購入する「こと」で熊本の復興を応援するチャリティープロジェクトです。 2016年12月24日までは、クリエイションギャラリーG8、ガーディアン・ガーデンで開催中の企画展会場で、2017年2月末までは「ポンパレモール」(通信販売)でも購入が可能です。展覧会会期後は在庫販売のみとなります。お気に入りの藍色カップはお早めにお求めください。

参加クリエイター一覧:
●クリエイションギャラリーG8での展示
青木克憲 / 秋山孝 / 浅葉克己 / 池澤樹 / 居山浩二 / 色部義昭 / 上田三根子 / 上西祐理 / 宇野亞喜良 / えぐちりか / 遠藤享 / 太田徹也 / 大原大次郎 / 岡田善敬 / 岡室健 / 小田桐昭 / 小野勇介 / 柿木原政広 / 葛西薫 / 勝井三雄 / 鎌田順也 / 上條喬久 / 川上恵莉子 / 菊地敦己 / 木住野彰悟 / 木下勝弘 / 草谷隆文 / 久保悟 / 小杉幸一 / 古平正義 / 小林洋介 / 近藤ちはる / 榮良太 / 左合ひとみ / ささめやゆき / 佐藤卓 / 佐野研二郎 / 澤田泰廣 / 下谷二助 / 白本由佳 / 新村則人 / 鈴木守 / 関本明子 / 副田高行 / 大黒大悟 / 高井薫 / 髙田唯 / 髙谷廉 / 田中竜介 / 田中良治 / 谷口広樹 / 天宅正 / 内藤昇 / 永井一史 / 永井一正 / 永井裕明 / 中川憲造 / ナガクラトモヒコ / 中島信也 / 中嶋貴久 / 仲條正義 / 長友啓典 / 中山尚子 / 薙野たかひろ / はせがわさとし / 服部一成 / 林規章 / 原耕一 / 原野賢太郎 / 日髙英輝 / 日比野克彦 / ひびのこづえ / 平野篤史 / 平林奈緒美 / 平松尚樹 / ヒロ杉山 / 福岡南央子 / 福島治 / 藤枝リュウジ / 松永真 / 丸橋桂 / 三木健 / 水野学 / 峰岸達 / 宮田裕美詠 / 村上雅士 / 八木秀人 / 箭内道彦 / 矢吹申彦 / 山口はるみ / 山田英二 / 山本タカト / ユムラタラ / 湯村輝彦 / 蓬田やすひろ / 若尾真一郎 / ワビサビ / アラン・チャン / スタシス・エイドリゲヴィチウス / フィリップ・ワイズベッカー / ポール・コックス / リチャード・ケール / ロドニー・グリーンブラット

●ガーディアン・ガーデンでの展示
Aokid / 秋山花 / ASADA / 雨宮庸介 / 飯田竜太 / 石川マサル / 石原一博 / 一乗ひかる / イトオハジメ / 上田風子 / 大小島真木 / 大島慶一郎 / 小川雄太郎 / 奥原しんこ / 尾崎仁美 / 我喜屋位瑳務 / 鰹とニメイ / 川島沙紀子 / 木村晴美 / qp / 黒田潔 / ケッソクヒデキ / 小阪淳 / 斉藤涼平 / 堺友里 / 榊原美土里 / 佐貫絢郁 / 塩田雅紀 / 清水雄介 / 下野薫子 / 末房志野 / 杉山実 / 鈴木葉音野 / 関川航平 / 大門光 / 武田厚志 / 谷口典央 / 玉置太一 / 寺本愛 / 中島あかね / 長浜孝広 / 楢崎萌々恵 / 成田久 / 西谷直子 / 早崎真奈美 / 樋口佳絵 / 百田達三 / fancomi / 藤田恵 / 古谷萌 / 町田尚子 / 水越智美 / 水野健一郎 / 溝端貢 / 宮下良介 / 宮原万智 / millitsuka / 森本将平 / 山川結女 / 山田七重 / 山本ヒロキ / YUKARINA / 横山かおる / 吉田芙希子 / ラジカル鈴木 / LEE KAN KYO

KIHARA直営店での藍色カップ展示風景

有田にあるKIHARA直営店での展示風景

RECENT PROJECTS

Dissimilar 〜対比〜

佐藤可士和 × KIHARA コラボモデル

佐藤可士和さんと取り組んだ Maison & Objet 出展作品

有田焼ブランドの再生と欧州市場の開拓を目指す佐賀県の有田焼創業400年事業の一環として進められた「ARITA 400project」。KIHARAはクリエイティブディレ...

[CLIENT]ARITA 400project

素磁

SOJI

釉薬の表情で魅せる素朴な磁器

KIHARAが初めて形状からすべてオリジナルで開発したコレクション「素磁(SOJI)」は、磁器でありながら、趣のある釉薬使いで素朴な暖かみを感じさせる。最近では日本国内...

[CLIENT]KIHARAオリジナル

Singapore Icons

シンガポールアイコン

シンガポールデザインと日本の職人技が融合

シンガポールの有名ギャラリーショップ「Supermama(スーパーママ)」の依頼によるOEM生産。シンガポールの若手デザイナーを起用したデザインと、日本の伝統産業である...

[CLIENT]Supermama(スーパーママ)/シンガポール