MANUFACTURING

ものづくりのこだわり

有田焼、波佐見焼を生み出す場所

豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に連れ帰った朝鮮人陶工から、やきものに関するさまざまな技術がもたらされたのが、有田焼・波佐見焼のはじまりです。
1616年、朝鮮陶工・李参平が佐賀県の有田町泉山地区で磁器の原料となる陶石を発見し、日本初の磁器焼成に成功しました。以降、多くの技術者や職人により有田焼・波佐見焼は発展し、江戸幕府の献上品に用いられたり、欧州ほか海外へ輸出されるなど、今日まで世界中の人々に愛されてきました。
KIHARAは、産地の職人たちによって作り上げられた伝統・技術・知識を礎に、現代の生活に調和する器を提案しています。

CRAFTSMANSHIP

職人の技

職人たちが支えるこだわりのものづくり

磁器の生産は、型作りに始まり生地作り、焼成、絵付けなど多くの工程を専門の職人が担当する分業体制で成り立っています。さらに、各工程でも専門分野が異なる職人たちが大勢存在します。KIHARAは産地商社ならではの視点で、窯元や職人たちの特性を生かしながら企画・デザインを行い、KIHARAブランドのものづくりを進めています。

パット印刷

シリコン製のパットを絵柄の凹版に押し付けて模様を写し取る絵付け法が「パット印刷」です。絵柄に沿った凹みに流れ込んでいる呉須をシリコンパットが拾い上げ、器に打ち込み印刷します。緻密な絵柄や曲面にも印刷が可能です。

転写紙

絵柄を印刷した転写紙を器に貼付け、そのまま焼き付ける絵付け法です。転写シートは台紙、顔料、カバーコートからなり、水に浸して台紙を剥離させ、絵柄を器の形状に沿って貼っていきます。色、絵柄ともに自由なデザインが可能です。

施釉

器に光沢と強度をもたせるため、釉薬(ゆうやく)と呼ばれるガラス質の成分を含んだ液体を器の表面に施します。
基本は手で施釉しますが器に求める質感、表情によってスプレーなどの道具を用いてさまざまな施釉が可能です。
各窯元では、透明感のあるものからマット感のあるもの、色付きのものなどオリジナルの釉薬が無数に開発されています。

手描き

手描きは主に「下絵付け」と「上絵付け」の二つがあります。
下絵付けはコバルトを主成分とした「呉須(ごす)」と呼ばれる青色の絵具で、素焼きをした生地(900℃で焼成した生地)に絵付けをします。上絵付けは本焼成した生地(約1300℃で還元焼成した生地)に赤や金などの鮮やかな色を絵付けします。
下絵付け・上絵付けともに輪郭線や緻密な線を描く場合は細い筆を使い、「ダミ筆」と呼ばれる太い筆で広い面を塗りつぶします。表現したい絵柄を求めてさまざまな筆使いで絵付けをします。

圧力鋳込み

凸と凹の対になった専用の石膏型を積み重ね、生地の元となる「泥しょう」を圧力をかけて流し込む成形法が「圧力鋳込み」です。型の中に充満した泥しょうが石膏の吸水性により硬化したところで、型から成形品を外します。主に変形している器の量産に適しています。

排泥鋳込み

磁器の生地をつくる陶土に水分などを混ぜた「泥しょう」を、乾燥した石膏型に流し込んでつくる成形法が「排泥(はいでい)鋳込み」です。石膏型が泥しょうの水分を吸収して張り付くので、目指す厚みになったら型の中の泥しょうを排出して乾燥させ、型から外します。主に急須や花瓶など、中が空洞になった袋状の器の量産に適しています。

ローラーマシン

器の外形をした石膏型に陶土を入れ、内側の形状をした鉛製のヘッド(ローラー)を挿入し、回転させながら圧延成形するのが「ローラーマシン」による成形法です。主に飯碗や湯呑など回転体の成形に適しており、高い精度の生地を製造できます。型に対する初期投資が必要ですが、量産性に優れ、一個あたりの単価を下げるメリットがあります。

機械ろくろ

「機械ろくろ」は、器の外形をした石膏型に陶土を入れて回転させ、コテをあてながら水を使って生地を滑らせ成形する「水ゴテ」とも呼ばれる成形法です。主に飯碗や湯呑、カップなど回転体の成形に適しており、職人による高度な技術が必要です。小ロットでの量産に利用されます。

KIHARAの器ができるまで

職人の手仕事が残る丁寧なものづくりの様子を、
白磁に染付の青と上絵の赤を施した器「NATURE」の制作工程を追いながらご紹介します。

1.石膏型作り

石膏を用いて、同じ形の器を量産するための「型(かた)」を作ります。型に流し込んだ時の土の収縮を考慮するなど、やきものの知識と造形センスが問われる重要な工程の一つです。

2-1.生地作り

「NATURE」は圧力鋳込みで生地を成形しています。専用の石膏型を積み重ね、圧力をかけて泥しょうを流し込み、約30分圧力をかけた状態を続けて、形が固まるまで待ちます。

2-2.生地作り

泥しょうが固まったら、積み重ねた石膏型をひとつずつ並べます。

2-3.生地作り

できたての生地はまだ柔らかいので、歪まないよう丁寧に型から外します。

2-4.生地作り

型から外し、時間をかけて乾燥させます。

3.生地仕上げ

生地が乾燥したら、不要な部分(バリ・凹凸)をカンナや網ペーパーで仕上げます。また、焼きあがった器が重くなりすぎないように生地の厚みをカンナで削り、調整します。削りが全て終わったら、スポンジを用いて生地の表面を滑らかにします。

4.素焼き

生地を窯に入れ900℃前後の温度で焼成し、余分な水分を飛ばします。「NATURE」では電気窯を使用しています。素焼きをすることで生地に含まれている余計な水分を飛ばし、強度や吸水性が上がり、絵付や釉薬をかけることができるようになります。

5.下絵付け

素焼きの生地に呉須(青色の絵の具)を用いて絵付けをします。約1300℃の還元焼成をすることで、釉薬と呉須が互いに反応し、美しい青色に発色します。

6-1.施釉

汚れや水漏れ防止および器の強度を高めるため、釉薬(ゆうやく)というガラス質の液体に浸します。

6-2.施釉

釉薬をかけると下絵付けした模様は見えなくなりますが、高温で焼くことにより釉薬が溶け、絵付けした模様が浮き出てきます。

7-1.本窯焼成

釉薬をかけた生地を1250℃~1300℃の高温で還元焼成します。還元焼成(酸素が少ない状態での焼成)するのが、有田・波佐見地区の磁器の特徴です。

7-2.本窯焼成

本窯焼成をすることにより、釉薬が透明なガラス質の膜となり、日常で使える状態の器になります。

8.上絵付け

本窯で焼成し、呉須が鮮やかな青に発色した「NATURE」に、赤色の絵の具で上絵付けをします。

9.上絵焼成

900℃程の低温の窯で、上絵付した絵の具を器に焼き付けます。下絵付けと上絵付け、両方の絵付けすることで絵柄に立体感を感じるようになります。

10.完成

焼き上がった商品は、高台のざらつきをなめらかに処理し、ていねいに仕上げて完成です。最終検品後、梱包して出荷されます。