企画展「& KIHARA」3rd exhibition 展示レポート
KIHARA TOKYO では、海外クリエイターとのコラボレーション商品を期間限定で展示販売する「& KIHARA」3rd exhibition を開催中。今回は、絵柄を転写する絵付け技法に用いる実物のハンコや転写紙をご覧いただきながら、ものづくりのストーリーをご紹介しています。
▲inban collection / Jochen Gerner
海外クリエイターの視点で開発!日本未発売の作品を初お披露目
「& KIHARA」プロジェクトは、欧州市場に向け株式会社キハラが取り組む、海外クリエイターとのコラボレーションによる商品開発プロジェクトです。
2019年に初めてアーティスト・イン・レジデンスを実施し、コロナ禍を経て 2023年、2024年と計4組のクリエイターが有田に滞在し創作活動を行いました。
本展はKIHARA TOKYO で3回目の開催となる「& KIHARA」プロジェクトの企画展です。2024年に来日したフランス人アーティストJochen Gernerの商品を中心に、「& KIHARA」プロジェクトに賛同し共同開発を進めるクリエイターらの新作を展示販売しています。
転写技法「印判 inban」によるものづくり
会場では、Jochen Gernerの商品名にもなっている「印判 inban」という転写技法についてもご案内しています。
「印判(いんばん)」とは、絵柄を転写する絵付け技法のひとつです。ハンコや型紙を使った絵付けや銅版転写などがあり、Jochen Gernerは有田・波佐見に滞在中、ハンコを用いたワークショップを体験しました。
製品化するにあたっては銅版転写の技法を採用。本展では、試作時に使ったハンコと転写紙の両方を展示し、ものづくりの技法や経緯についてもお伝えしながらご覧いただいています。
ハンコは実際に手にとって、紙にスタンプしていただくこともできますので、お近くのスタッフにお声がけください!
▲inban collection(印判コレクション)/ Jochen Gerner
フランスから来日したJochen Gernerが題材に選んだのは、有田や波佐見での滞在中に見聞きした日本の動物や植物、風景などでした。
Jochen Gernerが自ら描いたスケッチを元にピクトグラム的に表現した図案は、犬や猫、カエルにイノシシ、田んぼや空き家など身近なものばかり。関連するイメージのグラフィックを背面や銘に描いているので、ぜひ表現の意図に思いを馳せながらお楽しみください。
- そば猪口
- 小鉢
窯元の職人が手描きで再現するコラボレーション
フランスのデザイナーSéverin Milletが描いた原画をもとにした「波形コレクション」は、窯元の職人が手描きで絵付けを施しました。
▲Namigata collection (波形コレクション) / Séverin Millet
KIHARAの代理店を担うパリのショップ DEJIMA オリジナル商品として開発した商品群で、日本の国旗(日の丸)が船上で波に揺れる姿をイメージしたグラフィックが、「DEJIMA(出島)」の精神を象徴するモチーフとして描かれています。
湯のみに描かれたストーリーを楽しむ
▲Yunomi collection(湯のみコレクション)
パリのアートギャラリー IN VAN TAIRE 所属のクリエイターと開発した「湯のみコレクション」は、2023年に発表したプロジェクト第一弾の6柄(磁器)に続き、第二弾となる6柄(陶器)を加えた、計12柄のコレクションをお披露目しています。
- 日本の昔話にでてくるようなキャラクター
- 小津安二郎監督の映画『浮草』と『お早よう』の1シーン
- 日本らしい風景として「温泉」「居酒屋」
▲Yunomi Project 第二弾の陶器の湯のみ(※数量限定販売のため、売り切れとなった絵柄もございます)
Yunomi Projectには、フランス、イギリス、オランダなど各國のデザイナーが参加しており、日本の文化や暮らしをイメージして描いたストーリー性のある絵柄が新鮮です。
ご購入いただいている方も国際色豊か。日本、アメリカ、上海、シンガポール、ノルウェー、ベルギーとさまざまな国籍の方にご好評いただいています。
湯のみをキャンバスに見立て、全面にぐるりと絵柄が描かれているので、手にとって内側までご覧いただくと楽しい発見があります!ぜひ会場で説明のストーリーとともにご確認ください。
フラワーベースに描いたアート作品はパネル展示で
2023年5月に有田に滞在しアーティスト・イン・レジデンスを体験したフランスのグラフィックデザイナーAlexis Jametのアート作品は、パネル展示でご覧いただいています。
▲(上段)Alexis Jametのアート作品パネル /(下段)Yunomi collection
銅版転写の転写紙実物もご覧いただけます
「& KIHARA」プロジェクトとして継続して商品開発を行うフランス人イラストレーター Amélie Fontaineの「Ko-sometsuke」(古染付)は企画展2度目の登場です。
今回のメイン展示である「Inban collection」(印判コレクション)と同様、銅版転写の技法を用い、ユーモラスなイラストを絵付けした人気作。前回買い逃してしまったという方もどうぞお見逃しなく。数量限定でご購入いただけます。
- 銅版転写の転写紙(実物)
- 銅版転写の技法で製作した商品
▲Ko-sometsuke(古染付)/ Amélie Fontaine
銅版転写は、銅板に絵柄を彫り、呉須などの絵具を刷りこんで紙に印刷し、できあがった転写紙を素焼きの器に配置して、水を含ませた筆などで絵具を写す昔ながらの絵付け技法です。
本展では、Amélie Fontaineの絵柄の転写紙と、実際に仕上がった商品を比較してご覧いただけます。
「転写紙の絵柄は黒いのに、青色に発色するんですね」と驚かれる方も多く、ものづくりの一端を知っていただくきっかけにもなっています。
素焼きの器に転写紙の印刷面を配置するので、出来上がりの絵柄が反転して写し取られる点にもご注目ください!写し取るときの水分の加減などにより、にじみなどの個体差が生まれる味わいも魅力です。
「& KIHARA」プロジェクト
海外のクリエイターが参加する「& KIHARA」プロジェクトでは、産地に滞在中さまざまな工程を視察してもらい、日本のものづくりから得たインスピレーションが創作活動に生かされています。今回取り上げた印判もそのひとつ。こうした昔ながらの絵付け技法に価値が見出されているようです。
企画展では、有田・波佐見の窯元の協力のもとキハラが取り組むアーティスト・イン・レジデンスの紹介もしていますので、ぜひご覧ください。
会期もいよいよ5月25日(日)までとなりました。この機会をどうぞお見逃しなくご来店ください。
KIHARA TOKYO 企画展
「& KIHARA」3rd exhibition
会期:2025年4月26日(土)~5月25日(日) 11:00-19:00
月曜定休(月曜日が祝日の場合は営業、翌日の火曜日が休み)
会場:KIHARA TOKYO 3F 東京都渋谷区富ヶ谷1-14-11 入場無料