企画展「呉須染展」展示レポート
KIHARA TOKYOでは10月15日(日)まで企画展「呉須染展」を開催しています。
絵柄ごとに使い分けて描く「呉須」の表情
焼きものに興味がある方なら「呉須(ごす)」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。もしかしたらご存知ない方も多いのでは?ということで、今回の企画展ではスタッフも積極的に説明をさせていただいております!
呉須とは、有田焼や波佐見焼の伝統的な下絵付けの技法「染付(そめつけ)」に用いられる青く発色する絵具のことですが、ひとくちに青といっても、配合や成分によって発色する青色には幅があり、青みの薄いもの濃いもの、緑味がかった青や、黒に近い青など、さまざまな青の表現があります。
企画展では、幅広い色相の青を楽しめる呉須染シリーズ全45種類を一堂にご覧いただくとともに、職人のものづくりを身近に感じていただけるよう構成しました。
▲絵付けした素焼き生地や、呉須絵具、絵筆の実物展示、絵付け作業のパネル展示など
民陶のような素朴さが人気の呉須染シリーズは 5絵柄 × 9アイテム = 45種類
「呉須丸流し」「呉須独楽筋」「呉須十草」「呉須巻赤花」「呉須大唐草」5つの絵柄は発色の異なる数種類の呉須を用いて、職人がフリーハンドで描いています。
▲シリーズ形状は、深小皿・取皿・大皿・ロックカップ・飯碗・丼・急須・ラーメン丼・レンゲの9アイテム
▲ラーメン丼とレンゲは今年の新作
▲大唐草の模様は海外のお客様に特に人気
素焼きに絵付けをした生地と、完成品との比較展示
今回特にご注目いただきたいのが、素焼きに絵付けを施した状態の生地と、完成品の比較展示。
見比べていただくと、絵付けをした状態の呉須の色と、釉薬をかけて焼成し発色した色合いの違いを感じていただけるのではないでしょうか?
実際に使う絵具(液体)の呉須と絵筆も一緒に展示しています。
▲「すじぐるま」という回転する台座に素焼き生地を乗せてクルクル回しながら絵筆を当てることで、均一な円を描くことができる
呉須独楽筋は、深い緑に発色する呉須と赤く発色する下絵具を用い、二色の円を描いています。
職人の絵付け風景の写真や実際に使う道具、絵具や絵筆なども展示することで、お客様にも手描きのイメージをしていただきやすいようです。
KIHARA TOKYOスタッフの説明にも熱心に耳を傾け、「すごい!」「こうやって描いているなんて知らなかった」「呉須ってこんな色になるんですね」と興味をもってご覧いただいています。
▲絵の具、絵筆、素焼き、完成品を並べた比較展示
(呉須巻赤花は、赤い部分を上絵で焼成するため、下絵の段階では空白)
絵柄に合わせ配合を変えた呉須を使っているため、それぞれに発色が異なる様子がわかります。右側に展示した完成品の大きさが、左の素焼きよりも少し小さいのは、焼成することで1割程度焼き締まる焼きものの特性によるもの。
▲それぞれ配合の異なる呉須絵具
今回、呉須染シリーズの絵付けに使われている実際の呉須絵具(液体)をガラス瓶に入れて展示しています。絵具の微妙な色の違いと、完成品の発色を見比べて、展示をお楽しみください。
▲緑寄りの色相の青と藍色の青、発色の異なる呉須で描いた「呉須丸流し」
▲大胆な筆使いで職人が手描きする「呉須大唐草」
ものづくりに触れながら、幅広い色相の青を楽しめる「呉須染展」は、10月15日(日)までの開催です。こだわりの展示をぜひ会場でご覧ください。
KIHARA TOKYO 企画展「呉須染展」
会期:2023年9月16日(土)~10月15日(日) 11:00-19:00
月曜定休(月曜日が祝日の場合は営業、翌日の火曜日が休み)
会場:KIHARA TOKYO 3F 東京都渋谷区富ヶ谷1-14-11 入場無料