【KIHARA TOKYO 企画展】窯元とともに考える。今、KIHARA にできること

KIHARA TOKYO 3Fギャラリースペースでは、2022年4月26日(火)~5月8日(日)まで、焼きもの産地が直面する環境問題へのアプローチのひとつとして、企画展「窯元とともに考える。今、KIHARA にできること」を開催いたします。(※好評につき、5月22日(日)まで延長となりました)

 

窯元とともに考える。今、KIHARA にできること

本企画展では、さまざまな窯元と商品開発を行うKIHARAが、焼きものの産地商社として環境問題への取り組みを模索する中で生まれた、2つのプロジェクトをご紹介いたします。

期間中はプロジェクトから誕生した商品の展示販売を行い、テストマーケティングを実施。定期的な生産体制や販売方法について検討し、できることから少しずつ環境負荷軽減に取り組んでまいります。

 


Project1:原料ロス削減

KIHARA × 吉右ヱ門製陶所

KIHARA × 吉右ェ門製陶所

破損した素焼きを細かく砕き、釉薬に混ぜて加飾する

商品として完成する前、製造過程の素焼きの時点でヒビが入ったり、割れてしまうこともある焼きもの。昔から、廃棄品となる破損した素焼きの器を、細かく砕いて釉薬の原料にすることはありますが、それは微量の消費にしかつながりません。

不要な素焼きを粉にして釉薬に混ぜ、再利用する手法をきちんと意匠として昇華し、泡化粧という加飾法を生み出したのが、有田焼の窯元・吉右ヱ門製陶所です。

有田焼の原料は天然の陶石で、割れてしまい廃棄される素焼きの器も、形は変われど同じ素材からできています。KIHARAは、この限られた資源を無駄にしない吉右ヱ門製陶所の取り組みに共感し、KIHARAの定番の形状に加飾を施す商品開発を依頼しました。

今回は「GEN酒器」に、白・黒・金・銀・ブロンズ、計5色で泡化粧や刷毛目などを施していただきました。表面に残るテクスチャーはざらりとした手触りで、自然が生み出す唯一無二の美しさがあります。

 

<協力いただいた窯元>
吉右ヱ門製陶所 
https://www.instagram.com/kichiemon_seitousho/

 


Project2:廃棄物削減

KIHARA × 陶芸家 宮﨑泰裕

KIHARA × 陶芸家 宮﨑泰裕

廃棄予定の磁器を細かく砕き、陶土に混ぜて新たな作風を生む

高温で焼成された磁器は、そのままでは土に還ることはない材質に変化しています。そのため、完成後に割れや欠けが見つかったり、出荷基準を満たすことができない場合など、どうしても廃棄処分せざるをえない器が生まれてしまうのが現状です。

KIHARAでも、そうした器を一定数保管しており、それらを細かく粉砕し陶土にまぜることで、新たな作風を生み出せないかと開発に取り組みました。

協力してくださったのは、有田の大外山である嬉野の吉田で作陶する陶芸家・宮﨑泰裕さん。吉田で採れる陶土は粘り気があり、器を粉砕した粉とよく混ざり合うことから、この土を使った植木鉢を制作していただきました。

今回は、廃棄処分予定の「KOMON 豆皿」300枚を約1-2mmの粒にまで砕き、陶土に10%ほど混ぜて使っています。廃棄品の再利用になるとともに、わずかではありますが、陶土の使用量を削減することにもつながると考えます。

ろくろ成形でひとつひとつ丁寧に作られた植木鉢は、土ものらしい素朴な質感とコロンとした形状が愛らしい仕上がりです。

 

<協力いただいた窯元>
陶芸家 宮﨑泰裕 
https://www.instagram.com/miyazaki.yasuhiro/

 


KIHARAの環境への取り組み

焼きもの産地を取り巻く現状

KIHARAの器は熊本県・天草市の山から採掘される天然の陶石を原料としています。 採掘された陶石は、各工程の職人が技術や経験を生かして成形し、1300度の窯で焼成することで、美しく硬質な磁器に生まれ変わります。

しかしながら、一度焼き締めた磁器は、そのままでは土に還ることはありません。
そのため、製造過程で割れたり欠けたりした商品や、出荷基準を満たさない商品は、販売や再利用ができず廃棄処理をするのが一般的です。

KIHARAにできることは、販売を担う産地商社として、廃棄物を減らす仕組みを考えることや、限られた資源を無駄にせず、少しでも自然環境に配慮した焼きものづくりのサポートをすることではないかと考えます。

今はまだ微力ではありますが、今後も各窯元の協力を仰ぎながら、焼きもの産地としての持続可能性を模索してまいります。

企画展「窯元とともに考える。今、KIHARA にできること」展示レポート


KIHARA TOKYO 企画展
「窯元とともに考える。今、KIHARA にできること」

会期:2022年4月26日(火)~5月22日(日) 11:00-19:00
   5月9日(月)・10日(火)・16日(月)はお休みをいただきます。
    ※好評につき会期延長しました
会場:KIHARA TOKYO 3F 東京都渋谷区富ヶ谷1-14-11 入場無料

期間中は、展示品の販売を行います。
すべて一点物となりますので、完売の際はご容赦ください。